むし歯は早期発見、早期治療が大事です

むし歯治療

歯の寿命を少しでも長くするために

一度むし歯になると、通常の保険診療で使われる材料で治療を行っていくと、約18年後に歯を失うという統計データがあります。たとえむし歯になったとしても、すこしでも長く歯を長持ちさせるために、状態に合わせた最適な治療方法をご提案いたします。

銀歯はかならず2次むし歯になる

日本の保険制度では、昔からむし歯になった歯は金銀パラジウム合金という銀歯で治療を行ってきました。しかし、銀歯を入れているのは実は日本だけなのです。体への様々な影響があるため海外では禁止されている国もあるほどです。
銀歯のデメリットは
・金属が歪むため2次むし歯になる
・金属アレルギーを起こしやすい
・歯と銀歯の間に汚れがたまり歯周病になりやすい
などがあります。
せっかく治療した歯が将来まで残らないのはもったいないです。当院では長く歯を持たせるためにセラミック治療や院内技工による精密な製作をおこなっています。また、むし歯になったから治療ではなく、むし歯になる前の予防が大切なので、セルフケアとプロフェッショナルケアを徹底しています。

むし歯の原因

むし歯は4つの要素で発生します。「食事をした際の糖質」、「それを分解して酸を出すむし歯原因菌」、「酸に溶けやすくなった粗造な歯の質」、「それらの状態が持続している時間」の4つです。これらが合わさってむし歯の発生しやすさが変わってきます。見方を変えれば、むし歯原因菌がいなければ、おやつを制限したり日がな一日中ジュースを飲まないようにしたら、穴が開いている歯をきちんと治療しておけば、むし歯になりにくくなります。

1.細菌

むし歯はストレプトコッカス・ミュータンスという細菌の感染により起こります。このミュータンス菌は、糖質(主に砂糖)をエサにしてネバネバした水に溶けにくい「グルカン」という物質をつくり、歯の表面に付着します。このグルカンは粘着性が強いので、多くの細菌がくっつき合い大きな塊=プラーク(歯垢)へと成長します。また、プラーク中でミュータンス菌は、砂糖をを分解(代謝)して「酸」を作ります。この酸によって、歯の表面のカルシウムが溶け出し(脱灰)、やがてむし歯ができます。

2.糖質

 糖質が代謝され酸が作られることで、口の中が酸性になり、虫歯になりやすい状態になります。アメや甘いジュースを摂る習慣のある人は歯の表面が酸にさらされることが多いためむし歯になりやすくなります。

3.歯の質

 歯質は一人一人異なり、虫歯になりやすいかどうかを左右します。歯が作られる時の環境の違いなどで個人差がありますが、エナメル質や象牙質の状況によって、むし歯になりやすい人もいます。特に乳歯や永久歯が生えたばかりの子どもは注意が必要です。
丈夫な歯を育てるためには、歯の土台を作る良質なタンパク質、歯の再石灰化のために必要なカルシウムやリン、また、これらがうまく働くためのビタミン(A、C、D)などの栄養素が必要です。バランスの良い食事を心がけましょう。歯質を強化するためには、歯の再石灰化を促進するフッ化物を利用したり、だ液の分泌を促進するためによく噛んだりすることが効果的です。

4.時間

 お口の中は普段中性ですが、食事をすると酸性になります。しかし、唾液の緩衝作用によって30分ほどで中性に戻ります。食事の時間が長かったり、1日の間食の回数が多くなると、口腔内が酸性になる時間が多くなり、むし歯になりやすい状態が増えることになります。

むし歯の分類

CO(Questionable Caries under Observation)

COとは要観察歯のことです。エナメル質表面が脱灰し粗造になり、プラークや細菌が付着しやすい状態です。削る必要はないですが、フッ素塗布を行い、フッ素入りの歯磨き粉でセルフケアを行うなどして、注意深く経過を見ていく必要があります。

C1(齲蝕症第一度)

むし歯の初期段階です。エナメル質表面の脱灰した部分からエナメル質内に細菌が侵食した状態です。痛みはほとんどありませんが、表面が黒く変色し始め、見た目にわかるようになってきます。
治療方法は、むし歯部分を削り取り、レジンと呼ばれるプラスチックで詰めなおします。

C2(齲蝕症第2度)

象牙質までむし歯が進行した状態です。ここまで進行すると、しみるなどの症状が出始めます。硬いエナメル質と違い象牙質は柔らかいため、むし歯の原因菌は急速に内部まで進行していきます。治療のためには麻酔を必要とする場合が多くなります。治療方法は進行範囲によりいくつか選択していきます。
・C1と同じようにレジンと呼ばれるプラスチックで埋める
・金属やセラミックでインレーと呼ばれる詰め物を製作して装着する
・金属やプラスチック、セラミックでクラウンと呼ばれる被せ物を製作して装着する
レジンや金属は保険治療で行えますが、必ず経年劣化して2次むし歯になります。さらにむし歯が進行した場合は次のC3(むし歯が神経に到達した状態)に陥ります。なるべくC3にならないことが将来はを残すためのとても大切なことです。
これ以上のむし歯にならないために、セラミックでの治療をお勧めしています。セラミックは素材が安定しているため、ぴったりと精密に製作することができ、また経年劣化が起こりにくいため2次むし歯になりにくいのです。

C3(齲蝕症第2度)

むし歯が神経まで到達した状態です。細菌が侵食した初期にはズキズキと痛み、夜も眠れないほどの痛みが襲います。数日たつと神経組織が死滅しズキズキとした自発痛は無くなりますが、咬むと痛い、歯茎にプチっと海の袋ができるなどの症状が現れます。
治療方法は根管治療と呼ばれる、神経組織の除去とその管の洗浄が必要になります。この治療には回数がかかるため、治療期間が長引きます。
根管治療後は被せ物を作る必要があります。

C4(齲蝕症第4度)

むし歯の最終段階です。歯茎から出ている歯は原形をとどめず、根っこだけになってしまった状態です。ここまでくると、多くの場合は歯を抜く必要があります。
抜いた後はブリッジ・入れ歯・インプラントの補綴治療のいずれかを検討していきます。
状態によっては、歯を矯正治療で引っ張り出してもう一度被せ物まで作る、親知らずなどを移植するなど、特殊な方法も検討できます。

治療について

1.まずは予防を
 海外では歯医者はむし歯を治す場所ではなく、むし歯や歯周病にならないために予防を目的としている人が9割を占めています。日本ではまだ3割ほどの人しか予防をしていません。政府も歯科健診の義務化へ動いています。まずは自宅でのセルフケアと、歯医者でのプロフェッショナルケアを定期的に行いましょう。

2.できる限り歯を残す方法を
 どのむし歯の段階でも、なるべく歯の寿命が長くなるように、必要最小限の歯の切削で治療が済むように精密な治療を行います。

3.治療の選択肢を
 大きなむし歯になるほど、失った歯の質を補う治療方法は多岐にわたります。保険治療、自費治療によっても治療方法は大きく変わってきますので、患者様に合わせて治療方法をご提案いたします。

4.まずは相談を
 症状の感じ方は人それぞれです。異変を感じる前の定期健診を、異変を感じたらすぐに、ご連絡ください。